井上ジョー "Joemanian Song"

壮大。

 

この曲は、2016年のアルバム 'Joepop #1' に収録されています。東欧の国の言語であるルーマニア語と日本語を混ぜ合わせた新しい言語、それが Joemanian です。ジョーマニア語といったところでしょうかね。言うまでもありませんが、この歌は Joemanian で歌われています。

 


【New Album】"JOEpop #1" 【Track 2】"Joemanian" Preview

 

歌詞はジョーさん公式 HP の英語版で見ることができます。

 

歌詞に注目してしまいがちなこの曲ですが、結構な数の楽器を投入してますよね。ギターとベースは多分同じような音を鳴らしていると思いますが、あまり目立たないながらも裏拍で入ったり音が結構上下したりと意識して聞くと面白いです。ストリングスとピアノとドラムが安定している反面単調な分、ギターとベースはボーカルと絡み合うかのように自由に演奏してる印象です。ちなみに私が好きなのは二番で一瞬だけ登場するアコギです。

 

こちらの MV で使われている画像は、Facebook で確認することができます。

 

2015/05/18 の投稿。ただの道端ですが、絵になりますねぇ。

 

2015/05/21の投稿。ルーマニアは5~6個の地域に分けられるようですが、この衣装は南東部のドブロジャ地方のものだと思われます。黒海沿岸の地域で、トルコの影響を大きく受けているそうですよ。詳しくは古くからルーマニアと交流がある武蔵野市が教えてくれます。 

 

2015/05/24の投稿。ルーマニアドラキュラ伝説発祥の地として有名で、こちらはトランシルヴァニア地方にあるブラン城です。たしかに昼間でもおどろおどろしい音楽が似合う構えですが、実はドラキュラのモデルとなった人物ヴラド3世はここには住んでいなかったそうで。なんとも設定がガバガバな観光地です。

 

 2015/05/24の投稿。こちらはブラン城のすぐ近く、ルシュノフです。ここにはルシュノフ要塞という絶景穴場スポットがあるらしいんですが、どうしてこんな森の中で写真を撮ろうと思ったんでしょうか。なんとなく日本っぽいから?

 

2015/05/24の投稿。こちらはペレシュ城のお庭にある石像なんですが、このお城じつは国立美術館として使用されているんです。ほんと見た目だけで圧倒されますからぜひ調べてみてください。

 

2015/05/25の投稿。la-la land というと今ではミュージカル映画が超有名ですが、英単語としては「(酒などに酔ったときの)至高の世界」とかそこから転じて「ハリウッドやロサンジェルス」を意味します。

 

この曲は日本語でもルーマニア語でも意味が通るよ! っておっしゃってますが、それはちょっと怪しい感じがしますね。ジョーさんの言語ミックスシリーズは「他の言語の単語や音を使って日本語っぽく聞かせる」というのが基本的な方針だと思うので、この場合なら必ずしもルーマニア語で意味が通っている必要はないんですよね。

 


Romanian+Japanese="JOEMANIAN" New language

 

実際、上の動画でも独特な用例でチュートリアルを実践してくれていますが、ルーマニア語の部分は意味をなしていません。 ただ、ルーマニア語の雰囲気を感じるにはとてもいいですね。文法的ではないかもしれませんが、ルーマニア語の音を使ってるわけですから。

Joemanian の成立過程をおさらいすると、2015年にブラジルチャンネルで公開された動画が初めてのお披露目でした。その後2016年に楽曲としてリリースされたことを受け、約三か月後にプレビューを付けてルーマニアチャンネルで再公開したものが上の動画です。

どれだけの人が共感できるかはわかりませんが、この曲の旧タイトルは "Joemanian" でした。おそらく、販売元が CDbaby から自身の HP に移行された2020年4月にタイトルの変更を行ったようです(ちなみに他にもタイトル変更がなされた例は数件あります)。なので、五年後くらいにこの曲の事を "Joemanian" と言うとちょっと不思議に思われるかもしれませんね。タイトル省略して言うタイプの人なのかな? みたいな。

 

タイトル変更と関連して、イントロも少し変わりませんでしたか? MV で確認できる範囲だけでも、ストリングスにのせたピアノのリフが旧バージョンでは「E ; G♯, A, B, F♯ ; D♯, C♯, D♯, E ; G♯, A, B, F♯ ; D♯」だったのに対して、新バージョンでは「E ; C♯, E, B, F♯ ; C♯, B, B, F♯ ; C♯, E, B, F♯ ; (無音)」となっています。新バージョンでもサビでは旧バージョンと同じリフを使っているようなので、イントロだけマイナーチェンジをしたものと思われます(他の部分でも変化があるかもしれませんが、私はもう一度買いなおして研究するところまで気持ちがいかないので、気になる方はどうにかして検証してみてください)。

 


井上ジョー公式MV "Joemanian Song"

 

2020年9月7日、何の前触れもなく突如公開されたこちらのMV。あまりルーマニア関連の動画は多くないように見受けたので、ほとんどが未公開映像かもしれません。こちらの概要欄にも歌詞が載せられてますね。まさかの二バージョン収録の豪華版。前半は雪の降る市街地でのカットが中心で、後半はお友達とのバーベキューを収めたほっこり系。クールなピン映像を堪能できる前者と、どこか心温まる後者。うぅむ、いい仕事してます。

ひとつ言うと、この曲はフルで 02:47 なので、これだけの尺があればフルで流せるんですよね。しかしこのMVでは三分の尺がありながらフルバージョンを流さないという、ある意味ジョーさんらしい手法をとってます(ジョーさんってあんまフル尺でMV作らないですよね笑)。

 

ジョーさんでルーマニアと言うと、'Polyglot Musix #1' に "România" というもろそのまんまの曲がありますね。スネアの音が特徴的なロックナンバーで、こちらはがっつりルーマニア語で歌ってます。いつかそちらもご紹介できたらと思います。