井上ジョー "Kafoon"

花粉症のつらさがわかりました。

 

2021年3月25日。日本はだんだんとあたたかくなってきて、桜も咲こうかという時候であります。毎春の恒例となった花粉飛来のニュースですが、杉の木たちは毎年脅威を増して行くように思われますね。そんなつらい季節に、花粉症患者に捧ぐ粘着系ヒップホップです。

 


"KAFOON" Official Music Video

 


花粉系HIP HOPを作ったらリアルになった (Kafoon)

 

 

歌詞はこちらから。

 

地獄を思わせるような低音の粘り気あるシンセサイザーにのせたラップ。歌詞がよくねられているんですが、ジョーさんは歌詞を聞かせることよりフローを強く意識してますよね。もちろん歌詞は歌詞で意味があるんですが、いろいろな言語を知っているので広い語彙からうまくはまりそうな単語を探して来れたり、そもそもの言語センスが高くて普通ならはまらなそうな部分もぴったり聞こえてきたり。UDON とかは暗喩も暗喩で、あまり花粉症患者が使う言い回しではないと思うんですが、そういうのも容赦なくぶち込んでいくのはジョーさんらしいといえばらしいです。目玉取り出して洗いたい、とか鼻を取り替えたい、とかが日本では慣用的だと思うんですけども、そんな陳腐なことは言いません。鼻から UDON です。

 

ちなみに、花粉症の人が上あごの奥歯に痛みを感じるのは、副鼻腔炎が原因です。副鼻腔は頬の内側に広がる空間で、ここが炎症を起こすと粘膜が腫れ、上あごを圧迫します。というわけで、気圧の変化とはあまり関係がないかもしれませんね。こちらは、状態が良くない歯の中にできた空洞の内部で膨張した空気が、歯を内側から押すことが原因なので。

 

注目すべきは日本語をフランス語アクセントで歌っている部分でしょうか。実際に oui (英語で言う yes ですね) という単語を使用しているので、フランス語を意識していることは間違いないと思います。

フランス語というと有声口蓋垂摩擦音と呼ばれる r の音が特徴的です。ジョーさんがフランス語アクセントをマネする時には、r がないところにもとにかくこの音を入れまくるというのがセオリーです。一応断っておくと、フランスの方が日本語を話すとこうなるということではなくて、日本語にフランス語っぽい響きを足すとこうなるということですね。

 

歌詞中に出てくる Piña Colada というのは、カリブ海の一番東にある島国プエルトリコ発祥で、ラムやココナッツミルク、パイナップルジュースを混ぜたカクテルだそうです。たしかジョーさんはお酒を飲まないはずですが、黄白色をしたこのドリンクはビーチで潮風を感じながら過ごすにはぴったりでしょうね。まぁこの歌ではあまり良い引用のされ方をしていないわけですが。

 

日本人の3人に1人は花粉症もちだと言われています。もともとスギは日本の気候とも合っていて、マツなどと並んで固有種だったりするんですが、生育の速さとか木材としての使いやすさから、戦後にものすごい植えられたんですってね。で花粉の浴びすぎが花粉症発症につながるので、これはもう国民病というか、まぁこれだけスギが生えてればアレルギーにもなるわということです。アメリカではそんなスギに加えて、ブタクサがかなりきついらしく、春から秋まで気が抜けないみたいですよ。

 


アメリカに花粉症ってあるの?

 

ちなみに、この曲は Joe Inoue 名義の楽曲として初めて Spotify や Line Music に登録されたナンバーとなりました。かねてから主に YouTube のコメント欄などではストリーミングサービスでも聴きたい! との声は上がっていましたが、まさかこの曲がその先駆けなるとは思いませんでした。

Spotify では井上ジョーで、Line Music では Joe Inoue の名前で登録されています。

なお、Instagram のストーリー機能では、レーベル時代の曲は聴けませんが Joe Inoue 名義の楽曲の大半を聴くことができます。