井上ジョーのMV「幻」についての考察 pt.1

井上ジョーの2009年の1stアルバム ’ME! ME! ME!’ に収録されたこの曲。自身の3rdシングルとしても発売されています。
MVはストーリー仕立てになっていて、並行して本人が歌っているところも流れます。かっこいい。

 

youtu.be

 

ですがこのMV、少し難解だと言われています。若い男女の悲しい別れを描いた作品だと思われますが、身近なラヴソングのようでありながら少し浮世離れしたようなこの歌詞とも相まって、不思議な世界観を作り出していますね。ここでは、MVをじっくりと見て、考えたことを言語化していこうと思います。

 

(今回は、最初-2:27までを取り扱います。)

 

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誕生日を迎えた女性 (ちなみに名前は瑶 (よう) ちゃんとなっていますね) が、男性からお祝いのメールを受けとる場面からこのMVは始まります。

「お誕生日おめでとう☆
 後で迎えに行くからね!」

仕事を終え、働いているお花屋さんから小走りで帰る女性。暗くなる頃にようやく家の近くに到着しますが、何やら家の前に人だかりが...。駆け寄ると、そこには横転したバイクと小包、そして画面がひび割れたガラケーが転がっていました。顔を強張らせる女性。女性が握りしめている携帯には、地面に転がるガラケーとおそろいの、星型のキーホルダーがついています…。
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いやぁぁ重いですね。女性と男性は恋人の仲にあって、でもおそらくはまだ同棲はしていなくて、そして誕生日の夜にどこかへ行くつもりで彼女を迎えに行こうというところだったのでしょうか…。携帯が半開きの状態だったことからは、彼が彼女にメールを送ろうとしたことがうかがえます。しかし、そのメールが届くことはありません。
物語は、女性の仕事場である花屋に舞台を移ります。