井上ジョー ‘Joepop #1’ 全曲紹介 pt.1

井上ジョー、いや、Joe Inoue の才能を!

 

今回紹介するのは2016年のアルバム ‘Joepop #1' です。 

 

ジョーさんの顔が白く抜かれているのが印象的なジャケット。でもメガネの部分だけ肌色になっているのはなぜなんでしょう。

全16曲収録、と聞くとちょっと身構えてしまいますが、テンポよくアルバムが繰られていくので一時間もあれば聞き終わります。それぞれのジャンルはジャケットに引けをとらないほどカラフルです。

 

このアルバムの大きな特徴として挙げられるのは、ドラムの音像がかなりはっきりしていて力強いことでしょう。CD時代の曲の中にも「風のごとく」のようにドラムを押し出した曲はありましたが、曲の激しさとドラムのサウンドとは別の次元で考えているようで、今回のアルバムではパワフルなドラミングを楽しむことができます。ジョーさんはニルヴァーナデイヴ・グロールのようなハードヒッターがお好みだそうで、ご自身も演奏やミックスの際にはその思いを強く念頭に置いているようです。今回の作品は、(細かい事情はまったく分かりませんがおそらく)レコード会社の意向などに左右されないで完全に自分一人で作り上げたという意味では初めてのアルバムなんじゃないかということもあって、ジョーさんの嗜好がかなり前面に出ているんだと思います。

 

それと関連して、個人的にはジョーさんのドラミングには大きく二つの特徴があると思っています。

一つは、かなりスネアやキックの響きが少ないこと。ハードヒットしているからなのか、面をかなりきつく張っているからなのか、とにかく一つひとつの粒がはっきりしている印象なんです。

 

youtu.be

(半分くらいソラさんの受け売りでした(笑)。ちなみに、ジョーさんはマーチングバンドの経験もあるそうで、「基礎」だとか「姿勢の良さ」だとかはそこからきているのかもしれませんね。)

 

ジョーさんは結構スネアの連打を多用するんですが、それも自身のプレイの特徴をよく理解した上でやっているんだと思います。とにかく粒立ちが良いのでうまくインテンポで叩かれると、聞いている側はとても聞きやすいんですよね。音像がはっきりしない中で連打しても何となくボヤっとバサバサするだけになってしまいますから。そしてここで重要なのは、やっている本人もたぶん気持ちよくなってるんだろうなぁっていうことですよね(笑)。

もう一つは、シンバルの音が小さいことです。メリハリをつけるテクニックとして、ハイハットのハーフオープンだったりライドシンバルで八分を叩いたりすることは多いしそれはよく聞こえるんですが、とにかくクラッシュの音が小さい。というのも、クラッシュが鳴ったことにあんまり気づかないんです。これにも理由はあって、曲の盛り上がりのピークを示したいときに、楽器を重ねていく傾向があるからだと思います。このことは、サビに入ったときにシンセサイザーがほとんど必ず使われていることからもよくわかります。ジョーさんは良いメロディのまま溜めを作らずにサビに流れ込んでいくようなシームレス型の曲を作る一方で、徐々に盛り上げていく中でしっかりとサビの位置を示すことも多く、その場合に使われるシンセサイザーの音に紛れて、シンバルの存在が薄れているんではないかと。自分で全楽器を演奏すると特別誰かに気を使うこともなくトータルで楽曲を考えられるので、それぞれの楽器をうまくいかせるような構成にしやすいのかもしれません。

 

とまぁ雑感という言葉がぴったりの序文ですが、次の記事からは、全曲のざっくりした紹介をしたいと思います。

 一曲一曲の細かい紹介はまた別枠でやろうかなと思いますのでよろしくどうぞ。

 

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