井上ジョー "Mukai Kaze" & "Hanamizuki"
大自然の中での甘い恋。
この曲は、2018年のアルバム 'Farmland' に収録されています。落ち着いたピアノロックながら、サビに向けてダイナミックに進んでいきます。
"Mukai Kaze" の歌詞はこちらからご覧になれます。
いつもの私は「この曲はこの楽器に注目!」みたいな語り方をすることが多いんですが、この曲の場合は特別目立つ楽器はない分、まとまりがすごいなって思います。ピアノ、ドラム、ストリングス、ギター、ベースの全部が、ちょうどいいバランスで支えあってる。
野太いギターと弾けるピアノっていうのは相性がいいですよね。'Joepop #1' の "Magic" や "Sandomeshi" あたりを思い出します。
どこかで一度書きましたが、この曲もシンバルの音量が小さいですよね。サビの入りとか一応シャーンっていってますがまぁ聞こえづらいこと。そのせいか何となくヌルッとサビに入る感じがするので、ミックスの意図を聞いてみたい気がします。
次に、"Hanamizuki" を見ていきましょう。
こちらはピアノを主役にしてよりシンプルな形で進んでいきますね。イントロこそギターをフィーチャーしてますが、Aメロ以降はお休みして、サビでも脇役に徹しています。ドラムもフィルが少なく、あくまでもリズム隊として最低限のお仕事をしてるのみです。ベースが格段に聞こえやすくなってるので、耳コピするならベーシストはこちらの方がやりやすいでしょうね。
ちょっと面白いなと思ったのが、歌詞の段分けです。歌詞とメロディの進行ってだいたい一致するものじゃないですか。同アルバムの "Jiwa Jiwa" も、A → B → サビのかたちがはっきりしてますよね。でもこの歌だとAメロもBメロも歌詞の上で連続していて、とてもメリハリがない。二段の途中でABが切り替わってますから、何となくぬるっと進んでしまう。
ここで、デモ版から本テイクになったときの一番の成長を見ることができます。それが何かというと、境目となる部分で、ドラムのフィルインをしたり、ストリングスやギターを合流させたりしているんです。
"Hanamizuki" を聞いていて思うのが、とにかく単調なんです。転調したりもしませんから、とにかく淡々と進んでいく。ですが、"Mukai Kaze" はどうでしょう。楽器の数を増やすことで、メリハリがついていると思いませんか? A (ピアノ、ベース、ドラム) → フィルイン → B (Aの楽器に加えてギター、ストリングス) → サビ (Bにハモリを追加) となっているわけです。どんどん楽器が増えていく。さらに、ギターは音符の取り方でもまた違いを付けてますよね。Bでは裏拍を意識して重めに弾いてますが、サビでは八分でカッティングしてます。とまぁ、こういう工夫が目に見えるのが、デモ版の良いところですよね。
個人的な好みで言えば、バンドの演奏はよりダイナミックな "Mukai Kaze"、歌詞はより甘酸っぱい "Hanamizuki" の方が好きですね。
みなさんはいかがでしょう?