井上ジョー "You Don't Need the Passport to Enter My Pants"

旅人らしいタイトル。

 

この曲は、'Joepop #3' に収録されています。このタイトルでナンパされたら落ちちゃうかも。いや、ギリ落ちないか。

 


Does Naruto singer prefer Asian or Western girls?

 

 

piss off って怒ってるようなときに使うと思ってました。あんまりこの文脈に合う凡例がなかったので、とりあえず「興奮する」にしてみました。

いやぁこういうテンションの曲大好きです。旅の喜びがすごく伝わってくる歌詞に、ハイテンションでシアトリカルな歌声。歌詞が分からなくても何となく歌い方から気持ちとか状況とかが想像できませんか? 

ジョーさんの曲の大半は、一番と二番で同じことを繰り返してます(英語で歌ってることが多いので、洋楽的発想をして作った曲はこうなるんでしょうね。逆に日本語詞の曲は歌詞を練ることが多い印象)。こういう曲は歌詞を覚えやすいのでノリやすいのと同時に、一番と二番のマイナーチェンジを楽しめる味わい深さがありますね。バンドの演奏がよりアグレッシブになっていく傾向がありますが、今回は掛け声なんかも入れたりして、ハイテンションに拍車がかかってます。

私は自分の音楽的背景を振り返ってみても、ハードロック/ヘヴィメタルで育ってきているので、このくらいのディストーションがとても心地良いんですよね。一口にロックと言っても、ただエレキギターを使ってるからそう呼ばれているだけのものもありますので、個人的な好みとしてはこれくらいのパワーとエネルギーが欲しいんです。

この曲はかなりストレートなロックです。ジョーさんの曲は、低音のリズムギターの上に高音でコードを単音引きするギター("Closer" など、シンセサイザーがこの役割を担ってる場合もあります)が重ねられていることが多いように感じます。それによって音のバランスをテクニカルに整えているのかななんて思ってましたが、その一方で低音を聞かせるような曲も作られていて、こういう曲は細かいことを気にせずこの衝動を受け取れ! っていうメッセージなのかなと思います。

ギターつながりで言うと、この曲ってギターソロがあるという地味に珍しい曲じゃないかと。ジョーさんはリズムギター至上主義者なので、リードギタリストの独擅場たるギターソロっぽいギターソロが少ないんですよね。普通のバンドだったら間奏はギタリストのためにあるようなものですが、ジョーさんの場合間奏がほんとにただの間奏って言う。ですが、この曲ではソロがあるんです(もうちょっと音量が大きくてもいいように思いますけど)。いつか「ギターソロがある曲」っていう切り口で記事を書いて、この言説を証明してやりますから。

にしてもうねるベースが良いですね。ジョーさんおなじみの骨太ベースは一番でも存在感がありますが、やはり二番での演奏が白眉です。二番のサビ(サビ四回来るんですよね。それで言うと三サビです)とかすごいですよ。"風のごとく" 並みのブリブリ加減。

ギターとベースが良い分ドラムが無個性な感じはありますが、とにかくこの曲はバンドっぽいんですよ。ボーカリスト・ギタリスト・ベーシスト・ドラマーのそれぞれが独立した個性を主張して衝突する感じって、どうしてもワンマンバンドだと怒らないと思うんです。ワンマンバンドマンは自分の技術との戦いですが、前者のバンドだとそれに加えてどこまで個性を出せるかっていうメンバー同士でのせめぎあいもありますから。そうした衝突がまたより良い曲を作るのは想像に容易い事です。衝突がないことがワンマンバンドマンの良いところでもあり、悪いところでもある。そんな中でも、この曲の各楽器の演奏からは独立した意思を感じるんです。単調に録音を進めるのはあまりに手持無沙汰なので、バンドメンバーにニヤッと笑いかけながらアドリブっぽいおかずを入れてみたような。曲が盛り上がっていくにつれて、開放的になったメンバーは楽譜を離れてそれぞれの絵を描き始めたような。これが全部練られているものだったらとしたら、まぁ別にあり得ないことでもないですが、これはなかなかやりますなぁといった感じです。