井上ジョー 'Joepop #2' 全曲紹介 pt.1

じつは私、日本で活動していたころのジョーさんを知らないファン (≒ YouTuber の井上ジョーから入った人) なんです。だから、雑誌に載ってたインタビューとか、ラジオとか、CM とか、まったく知りません。すごく残念です。

 

その一方で、日本での活動は必ずしも成功ではなかったという話をネットで見たときから、どうも今のジョーさんの活動形態はその経験の反動なんではないかという考えが強くなっていきました。ソースがソースなので真偽のほどはわかりませんが、プロダクションの意向とジョーさんの活動方針が噛み合わなかったというのはさもありなんといった感じです。

今では「ほぼ完全個室」で、ライブからファンとの交流までやりたい放題に見えますが、それでも気苦労は多いようですね。

 

ジョーさんは2007年に日本でデビューしたわけですが、三年間で五枚のシングルと三枚のアルバムを発売。その後、楽曲提供やテレビ出演、MV 監督などの活動を経て、2013年からは TENGUBOY 名義での活動をスタートさせます。

2016年から Joe Inoue 名義で活動を始めると、そこからはめっきり目立った楽曲提供が減った一方で、自身は三年間でなんと十二枚ものアルバムをリリース。なお、日本語のチャンネルを開設したのもこの頃です。

何が言いたいかというと、演奏・ミックスはもちろん、プロモーションまでをも自分でこなすようになった時期から、ジョーさんは多作になったということです。これはともすれば駄作を多く生み出し、作品の価値を下げかねないという意味で必ずしもいいことではありませんが、のびのびした環境で活動できることは喜ばしいことだと思います。ただ、ほぼ三年周期で活動形態に変化がみられるという法則があるようにもお見受けするので、もしかすると今年、何かスペシャルなことがあるかもしれませんよ。

 

そんな苦労とそこからの開放感は、'Joepop #1' のリリースからわずか一か月後、2016年12月にリリースされたこのアルバムにも伺えます。

 

レーベルに入っていて、一か月で二枚もアルバムを出せるなんてことあるでしょうか。いろいろな大人の事情を抜きにして、ジョーさんが今まで温めてきたアイディアを一度自由に発散してみようといったような心境だったんじゃないかと思います。

余談ですが、'Joepop #3' は形はこのシリーズの一部のように見えるけれど、少し系統が違うんじゃないかな、と思います。一年間空いたこともありますが、1 , 2 が日本語と英語たまに他言語という印象が強いのに対し、3 は英語が主になっています。誤解を恐れず言えば、当時のジョーさんにいいアルバムタイトルが降ってこなかったために、既出の 'Joepop' シリーズに入れざるを得なかったのではないかな、とまで思います。

 

双子アルバムといっても差し支えのない両アルバムですが、数少ない相違点の一つが、2 は CDBaby 限定だが 1 は iTunes でも買える、というところです。iTunes の方が断然ユーザーが多いのに、どうして販売経路を狭めるような真似をしたんでしょうか。一か月の間にどんな心境の変化があったのでしょうか。

その答えになるわけではありませんが、少し検証してみましょう。私はウォークマン派なので蚊帳の外です (ソニーが提供する Mora は井上ジョーと TENGUBOY までしか網羅しておらず、Joe Inoue は買えません) が、'Joepop #1' は iTunes では 2444 円で売られており、CDBaby では 15.99 ドルします。ドル円相場によって CDBaby での作品の価値は変動しますが、単純に 1 ドル = 100 円のレートで 1599 円。客目線で言えば、1 ドル = 152.84 円まで円安が進まなければ、圧倒的に後者の方が安いんです。たしかアーティストへの還元率も良いみたいな話なので、 Win-Win ってやつですね。

 

(CDBaby は 2020/03/31 をもってサービスを終了しました。今は、ジョーさんのオフィシャルサイトから購入できます。2020/04/10追記。)

 

そんなこんなで、ジョーさんの販売ルート革命が起きた記念すべきアルバムなのであります。

 

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