井上ジョー “In My Arms”

キレイな雪ってときめきますよね。

 

この曲は、2016年のアルバム 'Joepop #2' に収録されています。ジョーさん史上三曲目のクリスマスソングとなるこの曲は、聖夜を迎えたカップルを描く淡くて甘酸っぱい曲です。

 


Original Xmas Song "In My Arms" by Joe Inoue

 

 

'Joepop #2' の全曲紹介でも言及しましたが、ジョーさんはこの記事の執筆時点で4曲のクリスマスソングを作っています。すなわち、"Very Big Xmas" "雑煮Glory" (Diana Garnet へ提供) "In My Arm" "Onaka Itai Tonakai" です。これだけ作っておきながら、王道ラブストーリーを歌っているのはこの一曲だけ・・・。なんというか、ジョーさんらしいと言えばそうですけども。

 

ちなみに、冒頭に置いたプレビュー動画の画像、これも "Very Big Xmas" のジャケ写を転用しています。日本での活動中は(本人の意に反して、と言ってもいいかもしれませんが)アイドル系路線で売り出していたという逸話が残っていますが、まさにそんな感じの写真ですね。三十代も半ばにも差し掛かってくるとなかなかこんなコスプレ見られませんし、貴重なショットと言えるでしょう。

 


ペルーのメイド喫茶でナルト歌手がいきなりインタビュー!

と思ったら猫耳でマジメなインタビューしてた・・・(笑)

 

さて、音楽的な話をすると、8ビットな感じのレトロなテイストですね。鉄琴っぽいカワイイ音とも相まって、なかなかにクリスマスっぽい雰囲気が出てます。

 

私この歌詞が好きなんですよ。この女の子がかわいすぎる。手編みのニット帽くれたりとか、でもちょっと待ち合わせに遅れちゃたりとか。控え目で優しい性格なんでしょうね、大口を開けて笑うなんてことしないわけですよ。そんな彼女を見ていると、ぼくは思うわけです。「あぁ、この子のこと好きなんだな」って。

 

ここってなかなか面白い表現ですよね。

ぼくの心を

驚くほどに

白く染めてる

今文脈上「好きなんだな」って言いましたが、『心が白く染まる』って何のことなんでしょう。恥ずかしいくらい陳腐すぎますけど、「ぼくの心が暖かくなる」とかでもわかりやすいしアリなわけですからね。「心が白く染まる」とはどういう状態なのか。

この曲の中で白いものと言えばまず思い当たるのはやはり雪ですね。都心に積もる雪は排気なりなんなりですぐに汚れてしまいますが、その点では白い雪は汚れのないピュアさの象徴ととれるかもしれません。「心が(雪のように)白く染まる」ということから汲めるのは、「純真なきみに触れたおかげで、ぼくも心が浄化されていくよ」ということでしょうか。

もしくは、きみの吐息についての描写と絡めて、「心が暖まる」という解釈もできるかもしれません。冬、メガネに息を吹きかけると白く曇りますよね。冷たい物体に水蒸気を含んだ息を吹きかけると、その表面で水分が冷やされて微粒の液体に戻ることで白くなるわけですが、同じことがここでも言えるかもしれません。「日々の喧騒に疲れ冷え切ったぼくの心が、きみの存在にふれることでだんだんと暖まっていく」といった感じでしょうか。ここでは、「きみの吐息」というのは「きみの存在」自体を具現化しただけのものであって、必ずしもこれであるべき必然性はありません。つまり、例えばきみと手を繋いでいれば、「きみの手のぬくもりがぼくの心を溶かしていく」という風に表現してもいいわけですよね。手なら溶ける、キスならとろける、などといった対応もありえた中で、「吐息が心を染める」を選んだジョーさんのセンスに私は感服するばかりです。

 

サビもいいですね、恋心を言葉にできないもどかしさを冬の神秘的な夜景の雰囲気に乗せて歌ってます。うぅん、クリスマスっていいなぁ。

 

これはとある回の WC で明かされたことなんですが、 'Salvage' 収録の "Ginza Line" はこの曲のデモなんですってね。電子音なテイストとか、曲の展開とか、言われてみれば確かに似ているような気もしますが、ボーカルラインは全く違う形で仕上がりましたね。思わぬ二点が繋がってびっくりしました。みなさんもぜひ聞き比べてみてください。